鶴澤清治の襦袢の中
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過去には勝てない。
勝てないから永遠に努力するとでもいうか。
芸能の世界に生きている方々には、伝統と過去の偉大な先達への絶大なる尊敬が
骨の髄まで染み込んでいて。
矛盾とか納得とか困惑とかを襦袢の中で闘わせつつも押込んで、
美しい着物のヒトとして行動する。
そこに美徳を感じることが多いです。

でもこのDVDを見て、なんと言えば良いのかなあ。
どんな世界も、山の頂上付近に居ないと澄んではいられない気がしました。
とはいえ、上に行けば行く程空気は薄いし、頂は険しくなるし。
でも、頂上は見えないし、雲の上には行けないし。
美しい着物のヒトは一番自分と闘っている人なのねえ。

「濁らない人」とでも言うのかなー。

この三味線の鶴澤清治さんはまるで青年のよう。そしておしゃれだ!
何かに飢えている感じがして、私がいうのも失礼ですが、
60歳を越えてなお、青臭さがあるというか。
三味線はもう格好いいの!
すっごい格好いい!ロックみたい!
太夫の声もそう。
住太夫さんの「老い」がとっても美しい。
芸は「老い」を経ないと行けない世界ってあるんだってつくづく思う。

昔聞いたバレリーナのお話を思い出す。
若い頃は技術や感覚で煌めくように踊れるけれど、
老いて、情感、叙情性を表現出来るようになった頃には体力技術が衰える。
人間が出来る事は決まっていて、
それを太く短くぷつんと終わるのか。
ゆっくり細く長く消え行くまで歩んで行くのか。


実は仕事中だから、音源だけ。
ああ映像みたい。。。
by murderpollen | 2010-05-12 20:19
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